冬は部屋の乾燥が気になる季節。
肌荒れが気になる女性に限らず、のどの痛みや目の渇きなどの症状で悩んでいる人は結構多いですよね。
男性でも30代以降は、乾燥による肌症状が気になる人の割合が急増!
手やかかとのあかぎれやひび、首回りや背中・おなかのかゆみや湿疹など、半数以上が「じつは気になっていた」という調査結果もあるそうです。
保湿対策としてクリームやローションなどを使い慣れている女性に対し、男性にはまだまだなじみ深いアイテムではないようで。
こんなときにあると嬉しいのが加湿器なのですが、加湿器を使っている人の割合も15~20%と、意外と低いのには驚きです。
最近の加湿器は値段もサイズも性能もピンキリ、いろんなタイプがそろっているのですが、高価で水の補充も面倒なのでは?というイメージがあるのかもしれません。
とにかく、乾燥による不快な症状を抑えたいのであれば、室内の湿度を維持する必要がありますよね。
そこで今回は、加湿器を使わないで室内の湿度を保つ方法についてご紹介します。
部屋の適正な湿度は何パーセント?
そもそも、何パーセントぐらいの湿度を保てばよいのでしょうか?
湿度が低いと喉が乾燥することでインフルエンザなどにかかりやすくなりますが、湿度が高いと今度はカビやダニが繁殖しやすい環境に。
汗ばんだり、モワッとした空気で不快にもなりますね。
温度との関係もあるので、一概に何パーセントが適正とも言い切れませんが、生活する上での快適な湿度範囲は40%~60%と言われています。春秋の晴れた日の状態ですね。
ご自分の部屋の湿度が、今、何パーセントなのかを知るには湿度計が必要です。
湿度計は安いものなら、100円ショップでも買えますし、温度・湿度計付置時計も、ホームセンターの時計コーナーで色々なタイプの安価なものが売られていますよ。
加湿器の代わりになるものとは?
湿度を40%~60%に保つには、要は、部屋の中の水蒸気の量を、湿度計を頼りにコントロールすれば良いわけです。
どうやって水蒸気を発生させるかですが、方法は3つです。
一つ目は、熱エネルギーを加えて、強制的に水蒸気にする。――→ 蒸発法
二つ目は、水が自らのエネルギーを使って水蒸気になる。―――→ 気化法
三つ目は、超音波振動によって、細かな水粒子を放出させる。―→ 超音波法
蒸気法は、炎や電気の熱を使って加熱し、蒸気(湯気・スチーム)を発生させるので、加湿の即効性があり、水は加熱殺菌されるため、清潔ではあるが、室温も急激に上昇する。
気化法は、ファンや部屋の空気対流で気化熱を発生させ水蒸気を作るので、熱源がなくても湿度を保つことができ、室温の上昇は抑えられるが、一定の湿度になるまでに時間がかかる。
超音波法は、最近の殆どの電気加湿器で採用されている方法。
水の中に超音波で振動する端子を入れ、その振動で分離した水の微粒子(ミスト)を放出するため、水と共に、元の水に含まれているミネラル分や雑菌類も放出される。
放出時は微粒子なので部屋の下層に漂うため、室温が下がる傾向がある。
これらの方法に従えば、蒸気法に相当する方法は、
ストーブにやかん
手っ取り早いものと言えば…そうです、「やかん」です。
昔ながらの方法ですが、コンロや火鉢或いは石油ストーブに水を張ったやかんをかけておく。
お湯が沸いてくれば湿度はガンガン上がってきますから、湿度計を見て、水を足したり、火元から降ろしたりして調節できますね。
しかし、最近は石油ストーブも火鉢も、火事や一酸化炭素中毒の要因になりやすいので使う人は少ないでしょう。
お湯を沸かすという点では、電気ポッドも加湿器代わりに使えますね。
沸騰したら蓋を開けておくだけです。
こうすると一気に湿度が上がり、ポットの電気も切れないで加温を続けます。
ただし、その分電気代はかかります。
ヒーターの前に水
温風ヒーターや赤外線ヒーターでは、ストーブのようにお湯を沸かせません。
しかし、ヒーターの前に台所で使う金属製のボールかバットに水を張って置いておくだけで同様の効果があります。
この水がヒーターの放射熱で温められて早く蒸発していきます!
ただし両方とも、寝る前には火や電源を落としますから、機密性の高い部屋ならとにかく、通常の部屋では就寝中に湿度がじょじょに下がってきます。
朝まで適度な湿度を保つとなれば別の方法が必要です。
次は気化法です。
毛細管現象の活用術
小さい頃にやった理科の実験を思い出しましょう。
ビーカーに水を張り、ガーゼを浸して、その端をビーカーの外に垂らしておくと、いつの間にか水が気化してなくなってしまう。
ガーゼの細かい網目を伝って水が吸い上げられ、空気と触れることで低い温度でも蒸発する現象です。
この原理を使って商品化したのが、エコロジー加湿器と呼ばれる「自然気化式」の卓上又は携帯式の、電気を使わない加湿器です。参考ですが、そこそこの値段で通販でも扱っていますよ。
オシャレ度を気にしないのであれば、スープ皿に水を入れたグラスを置き、ガーゼ布かハンカチの端をグラスの外に出しておいておくだけで加湿効果が得られます。
部屋にあるものを利用しましょう。
これなら、エアコンを使っていても、暖房器具の電源を落としても一定の湿度が保てます。
もっと簡単な気化方法
とにかく手間はかけたくない!と言う方には、これがお勧め!
簡単です。
洗濯物やお風呂で使ったタオルを軽く絞って、部屋干しするだけです。
特にエアコンを使っている部屋にはお勧めです。
エアコンの吹き出し口近くなら、外干しするより乾くのも早いですし、一石二鳥と言うわけです。
もっと簡単に!と言う方には最後の手段です。
毎日洗濯しない。毎日お風呂に入らない。と言う方もいるでしょう。
では、コップに水を張って、テーブルか枕元に置いておいてください。
これだけでも数%の加湿効果が望めますよ。
このコップに木製のマドラー(かき混ぜ棒)を指しておくとより効果が上がります。③でお話した毛細管現象で水の気化が促進されますからね。
このマドラーは買わなくても、マックとかドトールとかで貰ってくれば良いです。
では、超音波法に相当する方法はないのでしょうか?
原理は違いますが、強制的に水の微粒子を生成して放出する方法であればこれ!
スプレーを使ってミストを放出
水スプレーやスプレー除菌消臭剤を持っているなら、部屋にまいたり、カーテンに少し多めに吹き付けておくだけで、部屋の湿度は速攻で上げられますね。
最後に、部屋全体ではないのですが、体のある部分だけ、例えば、のどの乾燥を防ぐ方法法です。
自分の力で加湿したい
喉だけで良いから自分の力で加湿したい! これならば、「マスク」が最良です。
屋外でも旅先のホテルでも、風邪の予防にもなります。
マスクをして呼吸すると、吐く息に含まれる水分がマスクに吸着し、息を吸う時にその水分が戻って口内と鼻腔内の湿度を高めてくれます。
少なくとも鼻・喉の乾燥症状は緩和されますね。
加湿する時の注意点は?
さて、加湿器に頼らない加湿方法を紹介してきましたが、加湿効果は加湿器ほどではないにしろ、原理は同じなので、加湿器と同じように、「使用上の注意点」があります。
それは、「水」を使うということからくる注意点です。
自然水はもとより水道水でも、「貯めておく」と雑菌が繁殖します。
水蒸気は壁や窓で結露し、垂れた水分を放置するとカビや雑菌が発生します。
水蒸気は、加熱(殺菌)した水蒸気であっても、空気中の埃を吸着します。
それがカーペットやベッドに付着し続ければ、臭いやダニ・カビの繁殖の原因にもします。
加湿器は水の交換とフィルターなどの手入れを怠ると、ファンによって繁殖したカビ菌やレジオネラ菌を水蒸気と共に空中に掃出し、それを吸い込むことで健康被害を招くこともあります。
ですから、加湿器以外の方法でも、次の点には注意してください。
①水は毎日交換する。
②使った容器は毎日交換するか、洗浄する。
③毛細管現象を利用した布や木製マドラーは毎日交換するか、熱湯消毒する。
④結露はこまめにふき取り、1日1回5分~10分は部屋の換気(通気)をする。
⑤寝具は天気の良い日に天日干しをする。
当然のことですが、ストーブやヒーターなどの熱源を利用した加湿方法を用いる場合には、「火災予防」が第一です。
決して「放置」しないということは言うまでもありませんし、「やけど防止」のため、素手で「容器」を触ることは避けてください。
こう注意点を書きましたが、早い話が、「清潔を保ちましょう。」と言うことです。
最後に
高価な加湿器を買わなくても、部屋の加湿を行う方法はいろいろあります。
室内はエアコンのみという場合でも、気化法で紹介した「毛細管現象」を利用した「グラスとハンカチ」と「洗濯物・濡れタオルの部屋干し」で加湿できますよ。
ペットボトルを利用した簡易加湿器も通販やホームセンターで買えますが、安くても1,000円以上してますから、皆様も身近なものでひと工夫されてみてはいかがでしょうか。