秋になると楽しみなのが美しい紅葉ですよね。
紅葉の名所に行けば一面真っ赤な景色が見られて、春や夏にはない美しさを楽しむことができます。
そんな紅葉の主役とも言えるのがもみじですが、もみじに似たギザギザの形で思い浮かぶ葉がありませんか?
そう、かえでです。
もみじとかえで、このふたつは見た目も色もほとんど同じような印象があります。
これって違う種類なの?それとも名前が違うだけ?
もみじとかえでの違いってあるの!?区別するのはどうして?
結論から言うと、もみじとかえでは同じ植物。
分類上はムクロジ科(旧カエデ科)カエデ属の被子植物なんです。
海外では「もみじ」と「かえで」という区別はなく、カエデ属の植物はすべてMaple(メープル)と呼ばれています。
ではどうして、日本では「もみじ」「かえで」と区別して呼ぶのでしょうか。
その理由は「もみじ」という言葉の語源にさかのぼります。
平安時代に葉が赤く変化するという意味の「もみづ(ず)」が、現在「もみづ(ず)」の連用形である「もみぢ(じ)」になり定着したとされているのです。
また、秋口の冷たい外気に揉みだされるように色づく様子から、「揉み出るもの」という言葉が変化した、という解釈もあるそうです。
紅葉と書いて「もみじ」と呼ぶように、紅葉(こうよう)はカエデ属の樹木だけではなく、落葉広葉樹全般の葉の色が変わる現象を指す言葉。
ですが、かえではひときわ鮮やかな赤色に変化するため、紅葉(こうよう)する種をとくに紅葉(もみじ)と呼ぶようになったのでしょう。
ちなみに、かえでの語源は「かえるて」。
葉っぱの形がカエルの手に似ていることから、この名前になったとか。
可愛い語源ですね!
さて、かえでともみじは植物分類上では区別がなく、美しく色づくかどうかで決まる、ということが分かりましたが、
葉の切れ込みが浅いものを「かえで」
葉の切れ込みが深いものを「もみじ」
というように、園芸の世界では葉っぱの形状で区別しているそうです。
もみじとかえでの豆知識!
もみじとかえでの見分け方について説明してきましたが、ここからは、もみじとかえでにまつわる豆知識についていくつかご紹介します!
カナダの国旗はなぜ「かえで」?
カナダの国旗と言えば、中央にかえでの葉が描かれていますよね。
誰でも思い浮かぶあの図柄は1965年より採用されているものですが、あのカエデの葉は「サトウカエデ」という品種。
サトウカエデはカナダを代表する樹木で、甘くておいしいメープルシロップが採れることでも有名です。
開拓時代、カナダの人たちは食べ物がなくなる冬の間、カエデの樹液を摂取する、という先住民の教えを守り、厳しい時期を生き延びました。
カナダの厳しい冬の寒さ、そして自然とともに生きる暮らしの象徴としてこのサトウカエデが描かれているのです。
英語で「もみじ」ってなんで言うの?
海外では「もみじ」「かえで」という区別がなく、すべて「Maple(メープル)」と呼ばれている、と最初にご紹介しましたが、じつは「もみじ」も英語名があるんです。
その名もずばり、「Japanese Maple!」!
これはとくに「いろはもみじ」という品種を指すようで、日本では最もよく見られるカエデ属の樹木です。
区別しているのが日本だけなので、まさに!という名称ですね。
もみじ狩りはなぜ狩らないのに「狩り」なの?
「狩り」という言葉には動物を捕まえるというようなイメージがありますが、いちご狩り、ぶどう狩り、なし狩り…などなど、果物を収穫するときにも使われますよね。
でも「もみじ狩り」は葉を刈り取るわけではありません。
どうして「狩り」という言葉が使われるのでしょうか?
じつは、昔から自然を尋ねて鑑賞するときにも「狩り」という言葉が使われていました。
また平安時代には、紅葉を眺めるだけではなく、実際に手折って手のひらに載せて鑑賞する、という楽しみ方もあったようです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
もみじとかえでの違い、今までなんとなく別の品種なのかなと思っていましたが、呼び方のルーツは平安時代までさかのぼるほどの歴史があったんですね。
すっと気温が下がる秋の野山に、だんだんと降りてくる赤や黄色の色づきは、まるで染めたような鮮やかさだったことでしょう。
「紅葉」って、自然の景色を美しく表現した、とても素敵な言葉ですね。
「もみじ」と「かえで」は、じつは同じ品種というマメ知識、今年の秋は紅葉を楽しみながらみんなに披露してみては?