テレビでは「元日に放送します!」なんて番組紹介が流れるなか、年賀状にはせっせと「元旦」と書く。
暮れも押し迫るころの、よくある風景ですが。
あれ?
元旦?元日?
どっちが正しいの?と思ったことはありませんか?
そんな疑問を解決するために、元旦と元日の違いについて調べてみました。
元旦と元日と正月の違いとは
「元旦」と「元日」、どちらも「元」という漢字が使われていますよね。
この「元」は「はじめ」を表す言葉、年明けのはじめの日、すなわち1月1日を指しています。
そして「元旦」の「旦」は「夜明け・朝」という意味です。
確かに、漢字で書くと地平線を表す「一」のうえに、太陽を意味する「日」がありますね。
つまり「元」は1月1日、「旦」は朝となり、「元旦」は「1月1日の朝」なのです。
いっぽう「元日」の「日」は日付を表しているので、元旦のように時間を指しているわけではなく、1月1日終日を指す言葉。
「日」の下に横の棒線が一本あるだけで「朝」を意味するなんて、漢字の奥深さを改めて感じます。
学生時代は漢字を勉強するのがただただ面倒くさかったのに、おとなになってからいまさら新しく知ることがあるとは……言葉って奥深いものなんですね。
ちなみに「正月」の「正」も、「元」と同じく「年のはじめ」を表したもの。
「年のはじめ」の月ということで、「正月」は1月1日から1月31日までの一ヶ月なんです。
一般的には、官公庁がお休みとなる、1月1日から1月3日までの「松の内(正月飾りを飾る期間)」を指すなど、状況や慣習によって意味が違ってきます。
元旦と元日|年賀状ではどっちを使う
さて、元旦と元日の違いはわかりましたが、年賀状の最後に書く場合「元旦」「元日」どちらが正しいのでしょうか。
よく使われるのが
平成○○年 元旦
平成○○年 元日
平成○○年 吉日
あたりですが、結論から言うと、どれも間違いではありません。
ただ、年賀状は1月1日の午前中(朝)に読んでもらうことが前提なので、朝を表す「元旦」を使うことが多いようです。
ここで注意しなければならないのが、遅れて年賀状を出したため明らかに1月1日には届かない、という場合です。
「元旦」「元日」が1月1日を指している以上この場合は「吉日」を使うのが無難ですね。
このように「元旦」「元日」の意味を漠然と認識していると、うっかり「一月元旦」などと書いてしまいかねません。
「一月」も「元旦」も同じ意味があるため、重複表現となってしまいます。
また、「元旦」だけで「1月1日の朝」という意味があるので「元旦の朝」は「1月1日の朝の朝」と、これも重複表現になるんですね。
会話なら流れていってしまうので大して気になりませんが、文章として書く場合は注意しましょう。
まとめ
「元旦」は1月1日の朝だけを表す言葉。
「元日」は1月1日終日を表す言葉。
しかし、じつは厳密な定義があるというわけではありません。
親しい人同士の会話や年賀状で、このような重複表現をしたところで、注意できる人はそれほどいないと思います。
いままで気にしたこともなかったですよね。
けれど社会人としては、目上の人に失礼のないようできるだけ正しい言葉を使いたいもの。
年配の方や礼儀作法に厳しい人とのやりとりであればなおさら、正しく使えたほうが印象も良くなります。
なにより、言葉のひとつひとつそれぞれに意味があり、ちゃんと理解し正しく使うことで後世に伝えていきたいですよね。
この機会に「元旦」「元日」の使い分けについて、家族や親しい人と話し合ってみませんか?
言葉が持つ意外な意味に、新しい発見があるかもしれませんよ!