10月にもなると「実りの秋」という言葉を聞くようになってきます。
聞きなじみのある言葉ですが、意味を正しく言えるかと問われれば、答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。
普段あまり気にしたことはありませんでしたが、確かに「実りの秋ってなんだろう?」って思いますよね。
そこで今回は、日本人なら知っておきたい「実りの秋」の意味や由来、ほかにもあった?「○○の秋」について紹介します。
実りの秋の意味や由来とは?
「実りの秋」を辞書で調べると、「穀物や果実などの収穫が多くなる季節を表す言葉」と書かれています。
そういう意味もあってか、辞書や地域によっては「実り」ではなく、穀物を表す禾(のぎへん)がついた漢字である「稔」を使って、「稔りの秋」と表記されることもあるようです。
秋は冬が来る前の季節。
気候も穏やかなうえ、春から夏にかけて育ってきたさまざまな作物や穀物が収穫されることで、四季の中でも満ち足りて豊かな季節であるからと考えられます。
これからやってくる寒く厳しい冬を乗り越えるためにも、「実りの秋」は大切な季節なのです。
そのほかにもある「◯◯の秋」あれこれ!
秋には実りの秋のほかにも「○○の秋」と、秋が付くいろいろな言葉がありますよね。
次は、「秋」を表すこれらの言葉について解説していきます。
実りの秋だからこそ訪れる「食欲の秋」
「「〇〇の秋」で最初に思いつくのは、食欲の秋!」という人も多いのではないでしょうか。
食欲の秋と実りの秋、どちらも食べ物に関係している言葉ですよね。
実りの季節である秋にこそ、豊富に採れる旬の食物や新米などの美味しいものを思う存分いただこうということから、「食欲の秋」という言葉が生まれたのでしょう。
人間は冬眠はしませんが、動物本来の習性として「冬を乗り切るために秋に栄養を取っておく」一面もあるのだと思います。
ともあれ、暑さも落ち着き夏バテも解消したところに、美味しい秋の味覚が出始めれば、食欲も自然とわいてくるものです。
「スポーツの秋」には意外な語源があった!
秋は食だけではありません、「スポーツの秋」もよく聞く言葉ですよね。
「スポーツの秋」については、1964年に開催された、あの東京オリンピックが関係しています。
東京オリンピックが行われたのは1964年10月10日。
1999年までは、東京オリンピックが開催された記念日として、この日を体育の日としていましたが、「ハッピーマンデー制度」により2000年から10月の第2月曜日に変更されています。
東京オリンピック人気で人々のスポーツ熱に火が付いたことや、気候が穏やかで晴れる日も多い秋は、運動するのに適した季節でもあったことから、秋はスポーツの季節と認識されるようになりました。
読書の秋は中国から渡ってきた言葉が由来
「食欲の秋」「スポーツの秋」とくれば、残るは「読書の秋」ですよね。
実は「読書の秋」の由来は、古代中国の詩の一節からきているようなのです。
唐時代の詩人が「灯火(とうか)親しむべし」読んだことから、秋が読書にふさわしい季節として「読書の秋」の由来のひとつになった、とのこと。
「秋は過ごしやすく夜も長いので、灯火の下で読書をするのに最適だ」と言う意味です。
この言葉を夏目漱石が「三四郎」と言う作品内で使ったことから広く広まったとされています。
一方、読書週間が毎年秋に実施されるので、そこから「読書の秋」が定着したのではないかという説もあるようです。
ほかにもいろいろな「秋」がある!
読書、食欲、運動のほかにも「芸術の秋」や「行楽の秋」なんて言葉も聞いたことありますよね。
「芸術の秋」は「読書の秋」と同じ意味合いでしょうか。
何事もじっくり取り組める季節は、読書だけではなく芸術方面にも適しているのでしょう。
実際に、展覧会などの催し物が秋に多いのも、芸術に親しみやすいのかもしれませんね。
ちなみに「行楽の秋」という言葉にも聞き覚えがあると思います。
スポーツや収穫、芸術鑑賞などが、すべて「行楽」に含まれることを考えれば、「行楽の秋」とは「秋」そのものを満喫する言葉であるとも言えます。
まとめ
「秋」を表す言葉って、結構たくさんあるものですね。
夜が長く過ごしやすいこの時期は、食物が一気に収穫できる「実り」の季節であるとともに、知識をはぐくむ、人としての「実り」の季節であるのかもしれません。
いろいろな「〇〇の秋」を再確認したところで、今年の秋は今までチャレンジできなかったことに挑戦してみてはどうでしょう。