日本語には同じ読み方をするひらがながあります。
「じ」と「ぢ」そして「ず」と「づ」ですね。
これを四つ仮名と言います。
これらの読み方をもつ場合、どちらの表記をすればいいのか迷ってしまうことはありませんか?
今回は、その中でも子どもから聞かれてドキっとしちゃう「おこづかい」と「おこずかい」について、どちらが正しいのか考えてみました。
これを読めば、もしも質問されたときには、堂々と答えることができますよ!!
おこずかいとおこづかいはどちらが正しいの!?
「づ」を読むことはできるのですが、書くときはやはり「ず」になるようです。
なので、いつも孫に小銭をくれるおばあちゃんにお礼の手紙を書かせたら
「おばあちゃん、いつもおこずかいをくれてありがとう」
となるでしょうね。
正直、これを正すタイミングはいつが良いのかわかりません。
幼稚園児である我が子に対しては、今はまだ字を読めるようになることに重きを置いているので、どの言葉だったら「づ」と書き、どの言葉だったら「ず」で書くようにと教えるのも混乱を招くだけだと思い、そこはそっとしています。
ところが、これが小学生になってくるとそういうわけにもいきません。
少しずつ教えていくべきでしょうし、また、知識もついてくるので自ら気づくこともあるでしょう。
そしてある日
「お父さんお母さん、おこずかいとおこづかい、どっちで書いたらいいの?」
と聞かれる日がやってきます。
そのときにみなさんは、どちらが正しいのか理由と合わせて答えることはできますか?
辞書を引けば一目瞭然。
「おこづかい」が正解です。
その理由は漢字で書くとわかりやすくなりますね。
おこづかいを漢字で書くと「お小遣い」となります。
この「遣い」は「つかい」と読むので、「つ」に濁点を付けた「おこづかい」となるのです。
このように「ず」と「づ」のどちらが正しいのか迷ったときは、漢字を知っていれば簡単に考えることが出来ます。
まだ漢字を知らない子どもに説明するのは少し難しいかもしれませんが、これが基本となって学んでいくことでしょう。
ただし、困ったことに、漢字で書いたときと読み方が違うという例外もあるんです。
代表的な語句が「いなずま」です。
「いなずま」は漢字にすると「稲妻」となります。
ということは、「妻」という漢字の読み仮名である「つま」に濁点をつけて「いなづま」になるのでは?と思ってしまいますよね?
でも、実はこれ「いなずま」が正解なんです。
その理由は「現代仮名遣いに関する内閣告示及び内閣訓令について」という文部科学省が発行した告示の中で「現代語の意義では一般に二語に分解しにくいため」と記されています。
例えると
「稲妻」という語句は「いなづま」 → 「いなずま」
「世界中」という語句は「せかいぢゅう」 → 「せかいじゅう」
となり、本来は「づ」や「ぢ」の文字を「ず」や「じ」を用いて書くということです。
なんだか難しい説明になってきたので、とりあえず「いなずま」と「せかいじゅう」で覚えておきましょう。笑
他にもたくさんある勘違いしやすい言葉
こうしてみると、普段何気なく漢字で書いている言葉を改めてひらがな表記に変えてみようとすると、勘違いしてしまいそうな言葉がまだまだ出てきそうですよね。
せっかくなので、よく使う言葉の中で、ついつい「どっちだったっけ?」と思うような言葉をいくつか挙げていきましょう。
漢字の読み方をそのまま適用できるタイプ(二語に分解して意味がわかるもの)
・お小遣い → ○おこづかい ×おこずかい
「遣い」の「つかい」を読んで「おこづかい」となる
・三日月 → ○みかづき ×みかずき
「月」の「つき」を読んで「みかづき」となる
・鼻血 → ○はなぢ ×はなじ
「血」の「ち」を読んで「はなぢ」となる
・間近 → ○まぢか ×まじか
「近い」の「ち」を読んで「まぢか」となる
二語に分解しにくいという理由で漢字の読み方は適用しないタイプ
・稲妻 → ○いなずま ×いなづま
「妻」の「つま」は読まずに「いなずま」となる
・世界中 → ○せかいじゅう ×せかいぢゅう
「中」の「ちゅう」は読まずに「せかいじゅう」となる
・融通 → ○ゆうずう ×ゆうづう
「通」の「つう」は読まずに「ゆうずう」となる
・地面 → ○じめん ×ぢめん
「地」の「ち」は読まずに「じめん」となる
同じ文字の連語となる場合は、その文字に濁点をつけるとされているタイプ
・続く → ○つづく ×つずく
・縮む → ○ちぢむ ×ちじむ
・綴る → ○つづる ×つずる
・雀 → ○すずめ ×すづめ
※ただし例外で「著しい」や「いちじく」は「ち」からの連語であっても「いちじるしい」「いちじく」と読みます
このように、漢字や連語などで理由がはっきりとわかる場合はどちらを使えば良いか選択できるのですが、どの理由も当てはめることができずに困ってしまうような言葉もあります。
それは「絆」と「杯」です。
漢字で書くと一文字ですから、上に記したどのタイプの理由にも当てはめることができません。これは「づ」で読むべきか「ず」で読むべきか・・・どっちだ!?と迷ってしまいますね。
先に述べた「現代仮名遣いに関する内閣告示及び内閣訓令について」の原則に基づけば
「きずな」と「さかずき」とするのが正解です。
補足ですが、「少しずつ」や「3個ずつ」のような「ずつ」に関しては、「ずつ」でも「づつ」でも、ある意味どちらも間違ってはいません。
現代仮名遣い(1986年~現在)の定義においては「少しずつ」が正しいとされるものの、「少しづつ」は許容範囲とされています。
これは、1946年以前の旧仮名遣いの定義の中では「づつ」が正しいとされていた為です。
年配の方々が「少しづつ」という使い方をしても、必ずしも間違いではないので否定する必要はないということですね。
そして、これから子どもに教えていくときには「ずつ」を使うということを忘れずに。
できれば辞書を活用!!最終手段は漢字変換機能で・・・
理由を考えれば考えるほどもうどっちが正しいのか混乱してしまいますね。
やはり、よく使う言葉はいろいろ考えずに覚えてしまうことにしましょう。笑
そういえば、どうやって書くのかな?と思ったとき、昔は辞書を引っ張り出して調べていましたね。そこには読みや書きの正解はもとより、その言葉の意味や反対語、そして類義語なども表記されていて、いろんな知識と合わせて覚えることができました。
しかし最近は、すぐにパソコンやスマホなどの漢字変換機能を使って文字を出してしまいます。もちろん私もそのひとりです。
急いでいるときは便利ですし「漢字が知りたい」「読み仮名が知りたい」という疑問をストレートに解決してくれるのでとても重宝しているのは確かです。
でも、辞書で調べたときに得る情報というものもまた魅力的ですし、意味や理由と合わせて覚えることで、記憶に残りやすくもなります。
現代社会の便利さは緊急時や最終手段のみとして、できれば辞書を使って調べることをしていきたいですし、子どもたちにも「まずは辞書で調べてみる」という習慣を身につけてもらいたいものです。
それに付随した知識をたくさん習得することで新しい発見ができるかもしれませんよ!!
まとめ
「おこづかい」と「おこずかい」はどちらが正しいの?という素朴な疑問について考えたことが、わからないことがあれば辞書を引くという、とても単純でとても大切なことを忘れていたことに気づかされました。
このことは私にとって、とても良い刺激となりました。
みなさんも、時間に余裕のあるときは、スマホやパソコンの漢字変換機能で終わらせるのではなく、辞書を活用してみてはいかがでしょうか。
文字の1つ1つの奥深さを感じることができるかもしれません。
そして何より、日本語のおもしろさや日本語の正しい使い方を後世に残せる知識が身につきます。
まずは「おこづかい」を始め、今回の記事に登場してきた言葉の正しい使い方をしっかりと覚え、子どもから質問されたときには堂々と答えられるように準備しておきましょう!!